昨日までが何となく安全だったからといって
明日が100%安全だとは限らない。
今日の決断が明日の安全性を変えるのかも知れない。
薄っぺらなゴム板と僅かな空気に支えられた
過酷な自動車環境を間接的に考える!
自動車を運転させるというアクションには、
何トンという鉄の塊に人間の命を乗せている、
それが家族であったり友人であったり乗る人は色々。
ゴムという素材をみなさんはどのようにお考えでしょうか?
天然ゴムと化学合成樹脂の混合に
カーカスワイヤーと呼ばれる針金に、
強度を維持させる為の繊維素材を組み合わせて造られた
タイヤという材料を何処までご存知でしょうか?
ゴム素材というのはご存知の通り
それなりの寿命があるのです。
この寿命が考えているより
想像以上に短い事をご存知でしょうか?
タイヤはそのほぼ半分がゴムでできていて、
天然ゴム(ゴムの木から採れるゴム)と
合成ゴム(石油から生成するゴム)が
それぞれ半分程度の割合になっています。
ですので、原料における石油の割合は
非常に高いものになっています。
相反する不安定素材との結合。
天然植物樹脂と石油製品の混合素材なのです。
タイヤには大きく4つの役割があります。
1、自動車の車体を支える。
2、路面から伝わる衝撃をやわらげる。
3、パワーを路面へ力として伝える。
4、車の向きを変える、維持させる。
重量に衝撃そして摩耗と自動車環境は厳しく、
これに天然ゴムの寿命が関係して参ります!
日本ゴム協会には以下のような言葉がありました。
加硫ゴムの疲労破壊を,
ゴムに前もって存在する
もっとも大きな欠陥より発生する
破壊過程であると考えて,
疲労寿命の確率密度関数を求めた。
加硫ゴムには種々の欠陥が存在するが,
ここで取り扱うのは, 生ゴム中の異物
(dirt) とカーボンブラック中の異物
(主としてかたいcarbonaceous粒子) であり
この両者はその量と大きさにより,
実際上寿命に大きな影響を与える。
さらに, 得られた寿命の密度関数の2つの
パラメータについても考察した.
主な結論は次のとおりである。
(1) 疲労破壊発生核となる欠陥の大きさの分布は,
厳密極値分布にしたがう、
(2) 天然ゴムとSBRとの実測された
疲労寿命分布の大きな差が,
求められた密度関数によってよく説明される
(近似的に, 前者は正規分布に,
後者は対数正規分布にしたがう).
またこの差は, 天然ゴムとSBRの欠陥に対する
敏感性の差による。
(3) 等級の異なる生ゴムを用いた
天然ゴムの疲労寿命の差は,
これら生ゴム中の異物の量と
分布の型に直接依存する.
さらに, 天然ゴムの寿命分布の
ひずみ依存性についても検討した.
ゴムの寿命が短くなる要因には
1.劣化・老化
2.磨耗による消耗
の2つとゴム材料の欠陥、
どんな場所に使うか
(例:突起と接する箇所に
使用すると疲労しやすい)があります。
使用する環境や用途に適した
ゴム素材を選ぶのが重要だと言えるでしょう。
劣化・老化
ゴムの劣化・老化の原因は
オゾンなどによる酸化劣化と、
光(熱)、紫外線などの放射線による
化学変化が考えられます。
(1)オゾンなどによる酸化劣化
オゾン劣化したゴムは歪みと
垂直方向に亀裂が入ります。
ゴムの色に関係なくオゾン劣化は生じます。
オゾン劣化を防ぐための対策は
1.老化防止剤、ワックス
2.応力がかからないようにする
3.オゾン濃度の高い場所に保管しないようにする。
・高圧電流の付近
・直射日光のあたる場所
・クリーンルーム
などがあります。
とくにゴム素材の中でも二重結合を
主鎖にもつものは亀裂などの劣化が生じやすくなります。
オゾン劣化に対しては、耐オゾン性のある
素材を用いることで防止することができます。
一般的には、ブチルゴムやクロロプレンゴムなどが
それに相当しますが、他の素材でも配合によって
耐オゾン性を改善することができます。
磨耗による消耗
磨耗にはいくつかの種類があります。
1.アブレシブ摩耗:
ゴム表面を鋭く、硬い突起でひっかく
2.凝着摩耗:滑らかな相手面との摩擦
3.疲労摩耗:表面の疲労
4.ころ状摩耗粉生成による摩耗:例えば、消しゴム
5.粘着摩耗:摩擦によって生じた
低分子量のゴムによって摩擦面が覆われ、
相手面との相互移着を生じます
6.パターン摩耗:ゴム表面に
アブレーションパターンを
生成しながら摩耗が進行します
ゴムの劣化の要因は上で見たとおり、
環境面による劣化・化学変化と
使用による消耗・疲労があります。
寿命について考えるには
どちらか一方だけでなく、
広い視点で考えていくことが必要です。
また、ゴム物性の変化
(引っ張り強さの低下、硬度の硬化)は
使用中に進行していますが、
使用に差し支えなければ
交換する必要はありません。
万が一、使用が困難な状態になったときには
1.どのような不具合があるのか
2.使用期間はどのくらいか
3.外観はどのように変化したのか
を見ることによって原因を探ることができます。
さてさて肝心なるタイヤとしての寿命は?
寿命は環境次第で短くも長くもなりますから、
目安というよりは基準はバラバラなので御座います!
寿命ギリギリまで使うという精神も大切ですが、
最終的なアクシデントや命のリスクを考えた場合は
安全意識としては果たしてどうなのでしょう?
基準は自分で決めるしかありません。
新鮮なタイヤは黒くて艶が御座います。
黒は黒でも色の濃い黒なのです。油分も御座いまして、
指で触った時に湿度というか湿ったしなやかさが伝わります。
段々と渇いて油分が抜けて乾燥して来ると
タイヤ全体の色の雰囲気も変化して来ます。
そして黒さまでも幾分か薄くなります。
安全性を考えた場合はどうなんでしょう?
極端な話かも知れませんが、
1年に1度、この際ですから思い切って、
コストパフォーマンスに優れた新しいタイヤ4本に入れ替えです。
節約精神よりも安全意識の選択です。
新しいタイヤへと気分転換も含めて交換させてしまう習慣が
実は色々な可能性を含めて一番安全なのかも知れません!
備えあれば憂い無しでは御座いませんが、
この心掛けとタイヤ交換の意識と習慣は非常に大切な要素なのです。
昨日までが何となく安全だったからといって
明日が100%安全だとは限らない。
今日の決断が明日の安全性を変えるのかも知れない。
薄っぺらなゴム板と僅かな空気に支えられた
過酷な自動車環境を間接的に考える!でした。
Toshifumi Kako
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